手間いらず
手間いらずはIT企業の中でも群を抜いて儲かっている会社です。
2019年度の粗利率は驚異の92.3%、営業利益率は65.1%、純利益は42.8%と信じがたい水準となっています。
手間いらずの事業セグメントは2つで、アプリケーションサービス(TEMAIRAZU)とインターネットメディア(比較.com)です。
比較.comはカカクコムが提供する価格.comと紛らわしいですが事業内容もそっくりで、広告掲載やアフィリエイトで収益を立てています。こちらはto C事業なのでもしかしたら聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし実は売上、利益ともに約98%をアプリケーションサービス事業が生み出しており、今回はこちらを深掘りしていきます。
TEMAIRAZUは宿泊施設向けの一括管理SaaSです。
パッと思いつくだけでも、じゃらん、楽天トラベル、トラベルコなど予約サイトは非常に多くなっています。
それらの情報を一括で管理し、たとえば直前になっても予約が入っていない客室の料金を下げるなどを自動で行ってくれます。
「数多くの予約サイトに登録して収益機会を最大化したい」
「しかしその分管理の手間が増えてコストが増えてしまう」
TEMAIRAZUは、こうした旅館のかゆいところに手が届くサービスとなっています。
マネタイズモデルは2種類で、固定収益と変動収益があります。
固定収益:月額料金(+初期費用)
変動収益:予約数に応じた通信料
*旅行サイトによると初期費用は50,000円、月額は9,900円〜とのこと。
不況時のコストカットの一環として不必要なSaaSを解約するというのはよくあることですが、このコロナ禍で、さらに宿泊関連サービスで手間いらずは絶好調の決算をたたき出しています。
これは先ほど説明した固定収入が影響を受けていないことが大きいがゆえの結果です。
この環境下で宿泊施設はコストカットを断行していると思われますが、そんななかでも増収増益を達成する手間いらず。
これなしの世界は考えられない、というソフトウェアを開発した企業は圧倒的な優位性を獲得するというわかりやすい事例でした。